テーマ1人 わたしたちの由来

4古墳時代の女性リーダー

この骨は朝来市和田山町の向山(むかいやま)2号墳で見つかった約1700年前の古墳時代の女性の骨です。山の上につくられた古墳の石室の中で、木の棺に入れて埋葬されていました。奥歯はがよくすり減っているので、この人の死亡年齢は40才から60才くらいの熟年であると推定されています。下半身の骨は残りが悪かったので、身長は不明です。上あごにひどい虫歯のあとがあるので、歯痛(はいた)で苦しんでいたようです。

石の部屋の壁が赤くなっているのは、赤色(せきしょく)顔料(がんりょう)であるベンガラが塗られているためです。また、女性の頭の部分が鮮やかに赤くなっているのは、水銀(すいぎん)(しゅ)が塗られているためです。顔を赤く塗るのは、巫女(みこ)をかたどった埴輪に見ることができるので、この女性が巫女であった可能性も考えられます。このように石の部屋や顔を赤くぬることは呪術的な意味があったと考えられており、古墳時代では珍しいことではありません。

この女性の枕元には中国製の鏡が副葬されており、この地域のリーダー的な女性であったことがわかります。巫女のように人々に神の声を伝え、皆から慕われた人だったのでしょう。