31.蛇行剣

蛇行剣とは、刃の部分が蛇のようにうねった剣のことで、古墳時代中期に盛行する特異な形をした剣のことである。

全国では81点が確認されていて、そのうち兵庫県内では3遺跡から合計5点が出土している。素材の鉄を分析した例を見ると炭素含有量の少ない鋼を使用しているので、武器としての実用性はなく、儀礼に使用されたものであった可能性が高い。

また、これまでの研究によると、古い段階の蛇行剣は前方後円墳ではなく大型の円墳から出土することが多く、さらに同じ古墳であっても中心となる埋葬施設からではなく、それ以外の従属的な埋葬施設から出土する例が多いことがわかっており、古墳の主たる被葬者の副葬品ではない、とされている。

令和5年(2023)に、奈良市富雄丸山古墳から特異な形をした盾形銅鏡とともに237㎝もの長さのある蛇行剣が発見され注目が集まるようになったが、本例においても墳丘規模は大きい(109m)ものの円墳であり、さらに造り出しにあった埋葬施設からの出土であるため、従属的なものであるというこれまでの研究成果を裏付けている。

 

<参考文献>

・古代歴史文化協議会編2022年「刀剣-武器から読み解く古代社会-」ハーベスト出版

 

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