37.丁字形利器(全国集成)
丁字形利器とは、「丁」字形をした鉄製品で、板状の身と頸部、そこから関(まち)状に段をもってくびれて長い茎(なかご)へとつながるものである。身の両側には刃をもち、茎には目釘穴をもつことから、木製の柄をもった斧状の鉄製品であるといえる。身には透かしがあるのが特徴的で、その形態はさまざまである。
これまで、中国大陸、朝鮮半島には例がなく、国内でも4例しか知られていない珍しいもので、そのうちの1例が兵庫県美方郡香美町香住区の古墳から出土している。時期は3例が7世紀前半で、1例が8世紀後葉から9世紀初頭とされている。
用途については、透かしなどの装飾性があることから、武器形をした儀礼用の道具との見解があるが、明らかとはなっていない。
※図は<佐藤祐樹2018「日本列島における丁字形利器について」『伝法 東平第1号墳』富士市教育委員会>より引用
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