新年のごあいさつ

 皆さん、2022年、あけましておめでとうございます。

 私は奈良に住んでいますので、除夜の鐘が鳴るころに家を出て、東大寺の大仏殿から春日大社へと初詣をし、家に帰って里芋・大根・豆腐・餅の入った白味噌仕立ての、白一色の雑煮でお祝いします。すると、何だかすべてが新しくなったようで、不思議な感じがします。奈良の農家で、長年繰りかえしてきた、新年を迎えるための大事なルーティーンです。昔は雑煮を炊くのは男の仕事で、竈(かまど)の薪に火をつけるときは大豆の枯れた茎を使ったと聞きました。

 皆さんはどのように、お正月を迎えられたのでしょうか。

 

 さて、今年こそは新型コロナのない、いつも通りのお正月を、と思っていましたが、新種のオミクロン株とやらが急速に蔓延し、不安な年始めとなりました。今回のコロナ禍は歴史的な規模のものであることに間違いはないでしょう。しかし、人類はこれまでにも何度も何度も伝染病や疫病に襲われながらも、たくましくそれを乗りこえてきました。

 伝染病だけではありません。個人ではどうしようもない、戦争、難民、食料、人口、エネルギー、環境などといった社会的な問題は、程度に差があったとしても、いつの時代にも存在し、時には「世も終わりか」とさえ思えるほど、人びとを苦しめた時もありました。しかし、それでも人びとは希望を持って前進しつづけ、今日の繁栄を築いてきたわけです。

 したがって、こういう時こそ、人びとの長い歴史を振りかえり、自分にとって何が必要なのか、どうすれば持続可能な社会は実現するのかなど、一人一人がじっくりと考えてみる必要があります。

 

 考古学や歴史系の博物館は、この地で懸命に生きた人びとの喜怒哀楽に満ちた長い歴史を展示しています。先人の歴史に触れ、感じ、学び、今をどう生きるべきかを考える最高の場所ということができます。ぜひ、この機会に博物館を訪れて静かで平穏で豊かな時間を過ごしてください。マスクをつけ、消毒し、三密を避ければ、実に安全なところです。

その折は、JR土山駅で下車し、美しい「(歴史との)出合いの道」をたどった先の、広い大中遺跡公園に隣接する兵庫県立考古博物館もその一つとして考えてもらえれば幸いです。清潔で楽しい充実した考古博物館です。

 ぜひ、皆さんのご来館をお待ちしています。

令和4年 1月吉日

 

兵庫県立考古博物館 館長

ホームページをご覧の皆さんへ

 ようこそ兵庫県立考古博物館へ。

 わたしたちの博物館は、考古学の基本資料である遺物・遺構・遺跡を活用して、兵庫県における古代の文化や歴史を解き明かすことを目的としています。こういうと、何か堅苦しいイメージですが、実際には、館内に子どもたちの楽しそうな笑い声や会話が飛びかっています。一見、考古学には縁遠いような家族連れの来館者が多いのも特徴です。

 それは、昔のものを「見る」だけではなく、「触れて、感じて、ためして、考える」ための楽しい仕掛けが展示室のあちこちに用意されているからなのです。発掘の模擬体験、謎解きの扉や引きだし、古代人への変身コーナーなど、いろいろ楽しみながら考古学の世界に足を踏みこんでいけます。また、ナウマンゾウを追う旧石器人や、大きな石棺を納めた王墓のなかや、船による中国との交流など迫力ある実物大のジオラマを見ていると、知らず知らずのうちに古代のひょうごの世界にタイムスリップしていけます。

 勾玉づくりや火おこしなどの古代体験も、経験豊かなボランティアの丁寧な指導のもとに、毎日のようにできるほか、1年を通して、さまざまな体験やイベントが用意されています。もちろん、考古学に関心の高い方々を対象とした特別展や講演会なども、充実した内容で企画しています。

 今、私たちの住む世界は大規模災害はじめ、環境破壊、紛争など、日々の暮らしをおびやかすものにあふれています。今回、世界中で猛威を放っている新型コロナウィルスもそのひとつで、自然の驚異をまざまざと見せつけています。

 しかし、人びとは大昔から、こうした感染症をも乗りこえて、命をつなぎ、今日の文明を築いてきました。原因をどう見極め、どう対処するかに時代ごとの特色があります。考古博物館の展示で感染症の歴史を扱うことは難しいですが、さまざまな苦難を乗りこえてきた先人の科学的な「知恵と工夫」を学び、それを未来に活かすこともできます。当館のシンボルマークに記された「Past&Future」の言葉に込められた思いを感じていただけるよう、スタッフ一同、明るく元気に、そして真摯に取り組んでいきます。

 「触れる・感じる考古学のワンダーランド」、兵庫県立考古博物館へぜひお越しください。
 

令和3年 4月