26.黒曜石製石器

黒く輝く天然ガラスである黒曜石は日本の石器時代において最も多用された石材の一つで、北海道や信州に大規模な原産地がある。瀬戸内沿岸部を中心とする西南日本では、二上山(奈良県)や金山(香川県)で産出されるサヌカイトが広く利用されており、黒曜石は隠岐や姫島(大分県)、腰岳(佐賀県)などの原産地が知られるものの、その利用は地域的な偏りが大きい。

 

兵庫県内では、但馬・播磨を中心に出土しており、後期旧石器時代の早い段階から細石刃文化期まである。さらに縄文時代早期以降は量も増え、縄文時代中期にピークを迎え、後晩期になると著しく減少している。

大部分は隠岐産のもので、後半期以降には姫島産のものが流入しているが、それ以外の産地は確認されていない。

 

黒曜石は蛍光X線分析により産地の同定が可能となっており、旧石器時代から縄文時代の石材流通と技法、ひいては集団の移動のようすがうかがえる資料として注目されている。

 

 

※内容については各⾃の責任においてご利⽤ください。
※内容に誤りや不備等がございましたら、考古博物館までお知らせください。